歯周病
歯周病に対して、鍼治療が有効であることは、殆ど知られておりません。
その為に、別の治療で来院された際、お話を伺って治療することが殆どです。
歯のぐらつき
◆ Mさん 女性 (65歳)
来院されたのは、肩こりや、膝の痛み(変形性膝関節症)などでございましたが、これらの治療中に、歯周病で上の前歯3本がぐらつき「抜歯の必要がある」と、歯科医に言われたとの事をお聞き致しまして、抜歯を少し待っていただき、鍼治療をする事に致しました。
その結果、1週間に1度の治療、合計5回(40日弱)の治療で、ぐらつきは消え、歯を抜く必要はなくなりました。
しかし、根本的に完治しているわけではございませんので、このような場合には、治療は継続が必要になります。
※ 参考
歯がぐらついている場合の基本的な治療期間の取り方
ぐらつきを一刻も早く落ち着かせるためには、3日に1回の頻度で治療を開始して、他の歯と同様な程度までしっかりとしてくるまで行うほうがより良いと考えます。
しかし、お仕事や様々な都合、さらに効果の程度によっては、1~2週間に1回の治療でも臨機応変に対応していくように致しております。
歯肉炎で歯茎が腫れて、食べ物が噛めない
◆ Hさん 女性 (48歳)
「脊柱管狭窄症の手術後、握力がなく、痺れて痛みがある」と来院されました。
「手術前は、歩行困難になり、殆ど麻痺していたので、動くようになって良かった」とお話になっておられました。
しかし、「左右の腕全体に痛み・痺れがあり、特に右腕が強く、握力も弱い状態であり、下肢にも腕ほどはないが、同様な症状がある」との事。
来院した目的とは違いますが、「風邪をひきやすく、よく発熱して、寝込むことが多い」とのお話でした。
1週間に1回の治療で、3ヶ月、10~12回ほどで、治療が効果をあげて、相当に元気になられて、痺れが若干残っているものの、握力は殆ど回復し、痛みは消失しました。
「風邪も殆どひくことがなくなり、習慣のように病院へ通っていたのに、全く行くことがなくなった」と話されておりました。
この患者さんは、手術後の後遺症もあって、症状の改善後も、1週間に1回の治療はその後も半年になるまでは継続いたしました。
その後は、ご本人の希望もあり、2週間に1回の治療で、健康管理を目的に治療は致しました。
その様な折、「今、歯茎が腫れて、歯医者さんへ通っているけれども、物を噛むと下の歯が痛くて噛むことが出来ずに困っている」とのお話でしたので、歯周病に鍼が効果のある事をご説明し、治療することに致しました。
1回の治療で、ぷっくりと腫れていた水疱は消え、あごの下の圧痛のみが若干残るのみとなり、かなり驚かれていたご様子でした。
食事の際、食物を噛むことは全く問題なくなってしまい、2回の治療で、取りあえず治療は終えました。
体全体のコンディション調整は継続いたしておりましたので、何か問題があればその都度お話を伺い対処することに致しました。
入れ歯が合わなくて、硬い物が噛めない
◆ Kさん 女性 (88歳)
この患者さんは転倒し、大腿外側部を痛めてしまい、整形外科に「何度通っても治らない」と言う外傷の痛みで、来院されました。
治療中に、「入れ歯は作ったものの、硬い物が全く噛めずに、現在何回も歯科医院に通い調整をしてもらっていますが、殆ど変化なく、流動食で困っています」と言うお話を、お聞き致しましたので、治療をすることに致しました。
私は、この症状は、入れ歯そのものが問題なのではなく、神経過敏になっている事が痛みの原因であろうと考えましたので、鍼治療が相当と考え、治療をして差し上げることに致しました。
治療は2回、殆ど問題なく噛めるようになりました。
その後1回、合計3回の治療で、歯の痛みの治療は終了致しました。
単純に痛みのみの治療で良いと言われる訴えに対しては、継続して治療する必要性はなく、再度痛みが出るようであれば、その都度対応すれば良いと考えます。
歯茎からの出血
◆ 糖尿病で歯周病を持っているKさん 男性 (48歳)
歯茎から出血したと、肩こりの治療中に訴えがあり、治療を行いました。
出血は簡単に2回の治療で止められましたが、糖尿病の患者さんの場合には、継続治療が必要ですので、止血後は毎週1回の治療で、4~6回の治療、その後、患者さんの状態によって若干の相違はございますが、2~3週に1度の継続治療が必要となります。
※ 基本的な歯周病に対する治療
歯のぐらつきや、歯肉からの出血がある場合には、3日に1回治療致します。
これらの症状が治まってくれば、1週間に1回の治療に移行します。
1週間の治療から2~3週の治療に移行する目安は、歯茎の色の変化で決定します。
歯肉が赤く炎症がある間は、毎週1回のペースで治療を継続し、歯茎の色が正常な薄いピンク色に変わってきたら、若干個人差はございますが、2~3週に1度の治療へ移行致します。
前歯のぐらつき
◆ クラリネット奏者のNさん 男性 (42歳)
オーケストラの団員のNさんは、歯槽膿漏で前歯がぐらつき始めて「演奏に差し障りが出てきた」と、同団員の方に紹介されて来院されました。
「もしも、入れ歯などになってしまえば、演奏の感覚を掴む事が困難になり、演奏家を続けられなくなるから」と言う事でした。
症状は前歯の軽いぐらつきと、歯磨き時の出血でした。
3回目で出血は治まり、その後1週間に1回の治療で、半年24回の治療で完治致しました。
思ったよりも若干長引いてしまったのは、演奏活動を休む事が出来ない事が大きな要因であったと思われます。
鍼治療はここで終了致しましたが、ご自身などもスポーツなどを取り入れて、健康管理をなさっておられるとの事でした。